木材をロクロでまわし手の感覚だけで姿を削り出す。
均整のとれたこけしを作れるのは長年の経験によるもの。
伝統を守りつつアイディアを形にすることで腕を磨く。
こけしの愛らしい表情や瞳は職人の心情そのもの。
下書きはしない、ただやさしい気持ちで筆を入れる。
ものづくりは、過去から今へ、そして未来へとつながっていくもの。
知恵と経験を受け継ぎ、環境に対応しながら発展していく。
そうして作り続けてきたからこそ、今に認められるものがある。
グレープシティはこれからも作り続ける。
利用者と新しい技術を結ぶ架け橋として。
東北各地に伝わる「伝統こけし」は明治時代に生まれ、丸味を帯びた姿と
愛らしい顔立ちから木の子ども「きぼこ」などと呼ばれていた。
湯治場の代表的な土産もので女児の抱き人形として愛されてきたが、
いつしか大人の観賞品へと発展し、いまでは日本の伝統工芸品として
海外からも高く評価されている。
地域ごとにそれぞれの特徴が伝承された「こけし」。
なかでも華やかさで際立っているのが遠刈田のこけしだと
いわれている。
やや大ぶりの頭に赤い髪飾り、三日月型の瞳にほほ笑みを
たたえ、胴には鮮やかな赤い花もようが描かれている。


材料となるのは水木やかえでの樹。適度な長さで荒削りされた木材をロクロに取り付け、驚くほどの速さで回転させながらカンナで形を削っていく。ヤスリで磨きをかければ、木地のぬくもりを残したこけしの姿が現れる。描彩には難しい形にもかかわらず、なめらかな筆の運びにより白木のこけしが、たちまち赤や黄色などあでやかな色の着物をまとう。末長く大事にされますように。工人の思いが、こけしのやさしい表情に表れる。
名人と呼ばれた叔父の吉之助氏のもとで修業し、父であり名工であった吉弥氏の名を襲名する。叔父から継いだ優美さと父譲りの力強さを兼ね備えた氏のこけしは定評があり、40年にもわたり数々の賞を受賞。経済産業大臣指定の「伝統工芸士」に認定されるなど、名実ともに先代をしのぐ活躍を続けている。
伝統こけしは、東北の土地柄によって生み出されたといわれており、
工人たちは今も東北各地で伝統を守っている。
佐藤氏の工房兼店、創業250年の「木地屋」は宮城県の遠刈田温泉にあり、
職人歴65年以上もの氏のこけし作りを間近で見ることができる。
出迎えてくれる大小さまざまなこけしは、どれも佐藤氏の技と人柄を感じさせる。