Visual Basic 業務アプリ構築法 第5回

VBプログラミングの第一歩~単純なアプリケーションを作る
長谷川裕行
1998/6/6

長谷川 裕行 (はせがわ ひろゆき)
有限会社 手國堂 代表取締役
http://www.hirop.com/
テクニカルライターとして活躍。プログラミングに関する著書多数、DB Magazineなどにも多くの記事を提供している。

前回、VBによるプログラミングのおおよその流れを説明しました。今回は、実際に簡単なアプリケーションを作る過程を紹介します。1つひとつの具体的な操作を追いながら、VBの作法を把握してください。

プロジェクトの作成

実際にVBでプログラミングを試しながら、VB独特の作法やフォームとコードの関係などを把握しましょう。

- プロジェクトによる管理 -

VBは、フォームをデザインするフォームウィンドウ、ソースコードを入力するコードウィンドウなど、プログラム開発に必要な各種機能が1つのアプリケーション内に収まった統合環境です。
VBを起動すると、最初に画面1のような作成するプログラムの種類を選択するダイアログボックスが現れます。ここで作成したいプログラムを指定して[開く]をクリックすると、目的のプログラムを作成するためのプロジェクトが生成されます。
Windowsでは、アプリケーションは単なるコードの集合ではなく、フォームやアイコンなど様々な部品の集合体となるため、それらを統合的に管理する必要があります。それがプロジェクトです。  プロジェクトは、プログラムを構成する様々な要素を統合管理するための概念で、拡張子vbpのプロジェクトファイルによって、開発対象のプログラムに必要な各主要素が管理されます。


- 最初は画面デザインから -

VBではActiveXなど様々なプログラムを作成できますが、一般的なWindowsアプリケーションを作る場合は「標準 EXE」を選択します。EXEとは拡張子exeの実行形式ファイルのことです。
[開く]をクリックすると、画面2のようになります。前回説明したように、ウィンドウの左側から中央にかけて開いている大きなウィンドウがフォームウィンドウです。中に、タイトルバーに"Form1"と表示された灰色のウィンドウがあります。これがフォーム――つまりこれから作るアプリケーションのウィンドウです。
フォームに様々な部品を貼り付けることで、アプリケーションのウィンドウ――即ち画面を作成していきます。この作業を「フォームのデザイン」と言います。


画面1:作成するプロジェクトの種類を選択する
画面2:最初にフォームのデザインを行なう


フォームのデザイン

フォームにラベルとコマンドボタンを貼り付け、文字を変更してみましょう。初期状態の変更は、プロパティウィンドウで行います。

- コントロールとツールバー -

フォームに貼り付ける部品をコントロールと呼び、ウィンドウ左端のツールバーから選択します。画面3に、ツールバーに表示されているコントロールの名前を示しておきます。他にもまだ種類がありますが、今の段階では上半分の12個だけで構いません。それぞれの役割を表1に掲げておきます。

表1:標準的なコントロールの機能

名称 機能
選択 コントロールを選択状態にし、編集できるようにする
イメージボックス 画像を表示する
ラベル 固定的な文字列を表示する
テキストボックス 文字列の入力を行う
グループボックス 複数のコントロールを囲む
コマンドボタン クリックして処理を実行する
チェックボックス 項目の有効/無効を切り替える
オプションボタン 複数の項目から1つを選択する
コンボボックス 一覧からドロップダウン形式で項目を選択する
リストボックス 一覧から項目を選択する
水平スクロールバー 画面を左右にスクロールする
垂直スクロールバー 画面を上下にスクロールする

画面3:標準のツールバー
- ラベルを貼り付ける -

試しに、フォームにラベルを貼り付けてみましょう。ツールボックスでラベルをクリックし、フォームの上でマウスをドラッグさせます。ドラッグの軌跡に従って、開始点と終了点とを結ぶ線を対角線とした四角形が表示されます。適当な大きさになったところでマウスのボタンから指を離すと、画面4のようになります。

画面4:フォームにラベルを貼り付けた

フォームに貼り付けた直後のコントロールは、周りに”■”が表示されています。これをハンドルと言い、コントロールが選択された状態であることを示しています。
ハンドルをドラッグすれば、コントロールのサイズを変更できます。コントロールのハンドル以外の部分をドラッグすると、コントロールの位置を変更できます。
フォームのコントロール以外の部分をクリックするとハンドルは消え、そのコントロールの選択状態が解除されます。コントロールをクリックすれば選択状態となります。また、「選択」ツールをクリックしてフォーム上をドラッグすると、ドラッグした軌跡の描いた範囲のコントロールをまとめて選択状態にできます。


- 文字列を変更する -

ラベルは固定的な文字列を表示します。表示する文字列は、"Caption"プロパティによって設定できます。最初は"Label1"と表示されているはずです。これは、このコントロールの名前でもあります。名前はNameプロパティで設定されます。
今貼り付けたラベルを選択状態としたままで、ウィンドウ右端の中ほどにある「プロパティウィンドウ」を見てみましょう。「プロパティ - Label1」と表示された小さなウィンドウです。
(オブジェクト名)という見出しの右に"Label1"と表示されています。これがNameプロパティの値です。その7行下の欄に"Caption"という項目があり、右には"Label1"と表示されているはずです。
"Label1"と表示された箇所をクリックすると、カーソルが現れて値を編集できるようになります。"Label1"の文字列を削除し、
Welcome to the VB World !
と入力してみましょう。入力を終えると、画面5のようにフォーム上のラベル内の表示も変更されます。


画面5:ラベルの文字(キャプション)を書き換えた

今行った操作が「プロパティの変更」です。今は手作業で直接プロパティウィンドウの値を書き換えましたが、この操作はプログラム内で行えます。後で試してみましょう。

- フォントを変更する -

次に、ラベルに表示している文字列のフォントを変更してみます。ラベルが選択された状態で、プロパティウィンドウの"Caption"の欄からさらに6行下がると、"Font"という項目があります。右側には「MS Pゴシック」と表示されています。ここをクリックすると[...]ボタンが表示されます。
[...]ボタンをクリックすると、「フォント」ダイアログボックスがオープンします。ここで、ラベルに表示する文字列のフォントを変更できます。


フォント名:Century
スタイル:ボールド イタリック
サイズ:14

に変更してみましょう。画面6のような感じになります。変更したら[OK]をクリックします。

画面6:フォントの種類、サイズなどを変更する
- 文字の色を変更する -

プロパティウィンドウの"Font"の下には、"ForeColor"という項目があります。文字の色(前景色)を指定するプロパティです。右の欄で「黒」が指定されていることが分かります。文字の色を変えるには、右端の[▼]をクリックします。
色を変更するためのカラーパレットがオープンするので、「パレット」タブをクリックし、「青」をクリックしてみましょう(画面7)。


画面7:パレットから文字の色を選択する
- ラベルのサイズを調整する -

文字を大きくしたので、最初に設定したラベルのサイズが小さいと文字がすべて表示されなくなります。ハンドルをドラッグして、ラベルのサイズを広げてください。これで、フォーム上のラベルは画面8のようになります。

画面8:ラベルをドラッグしてサイズ調整する
- コマンドボタンを貼り付ける -

次に、ツールボックスでコマンドボタンをクリックし、フォーム上のラベルの下に貼り付けます。要領はラベルの場合と同じで、ドラッグして位置とサイズを変更できます。
画面9のようにしてください。


画面9: コマンドボタンを貼り付ける

- ボタンの文字を変更する -

今貼り付けたコマンドボタンが選択された状態で、プロパティウィンドウを見てみましょう。プロパティウィンドウには、常に選択状態となっているコントロールのプロパティが表示されます。
プロパティの変更方法はどのコントロールでも同じです。上から5行目の"Caption"プロパティを、
切り替え
に変更します。Captionプロパティを変更すると、ラベルの場合は表示されていた文字列が変更されました。コマンドボタンでは、ボタン上に表示する文字列が変更されます。このように、同じプロパティ名でも対象となるコントロールが異なれば、変更結果も異なります。
これで画面10のようになります。


画面10:コマンドボタンの"Caption"プロパティを変更すると、ボタン上の文字が変わる

コマンドボタンに処理を記述する

ここまでの操作で外観が整いました。今度は、内部の処理をソースコードとして記述していきます。

- フォームだけでも実行できる -

フォームを見ると、なんとなくプログラムらしくなってきました。Windowsを操作したことのある人なら、このフォームを見れば「コマンドボタンをクリックしたら何らかの変化が生じる」ということを推測できます。
しかし、プログラムはまだ完成していません。試しに、ここでメニューから「実行(R)」→「開始(S)」を選択してみてください。プログラムが実行され、小さなウィンドウがオープンします。今デザインしたフォームがアプリケーションとして実行されているのです。
[切り替え]コマンドボタンもクリックできます。クリックできますが、何の変化も起こりません。まだ、「コマンドボタンがクリックされたときに何をするか」を定めていないからです。[X]ボタンをクリックし、アプリケーションを終了させましょう(VBの[X]ボタンではなく、今実行させた小さなウィンドウの[X]をクリックします)。
アプリケーションが終了し、VBのウィンドウに戻ってきます。このように、VBではフォームを途中までデザインしただけでも、アプリケーションとして実行させることができます。


- ソースコードを入力する -

コマンドボタンをクリックしたら、何か処理を行なうようにしてみましょう。ソースを入力しなければなりません。ソースの入力は、コードウィンドウで行います。
フォームに貼り付けたコマンドボタンをダブルクリックすると、画面11のようなコードウィンドウがオープンします。
前回は、ここに"End"と入力することを紹介しました。ここでは、もう少し長いソースを入力します。


画面11:コマンドボタンをダブルクリックすると、コードウィンドウがオープンする
リスト1のようなソースを入力してください。

リスト1:2行のソースコードを入力する

Private Sub Command1_Click()
Label1.Caption = "Enjoy Programming!!"
Label1.ForeColor = &HFF00FF
End Sub

- 記号に注意 -

最初の"Private ..."と最後の"End Sub"は既に入力されているので、間の2行だけを入力します。"Private ..."と最後の"End Sub"の間に入力することを忘れないようにしましょう。
ソースはすべて1バイトの英字と記号を使います。英小文字のl(エル)とアラビア数字の1(いち)、「"」(ダブルクォート)、「.」(ドット)などの記号を間違えないよう注意しましょう。3行目の"&HFF00FF"の「0」は数字のゼロです。アルファベットの「O」(オー)ではありません。
大文字と小文字も正しく入力してください。"Label1"、"Caption"などは大文字と小文字を間違えても綴りが正しければVBが自動的に修正してくれますが、できるだけVBに頼らず正しい入力をするよう心がけましょう。


- プロジェクトを保存する -

ここで、一旦作成中のプロジェクトを保存しておきましょう。メニューから「ファイル(F)」→「名前を付けてプロジェクトの保存(E)」を選ぶか、またはツールバー上のディスクボタンをクリックします。
ファイルの保存ダイアログボックスがオープンし、保存先を指定してファイル名を入力し保存します。プロジェクトの保存では、フォームとプロジェクトの両方を保存します。フォームは"Form1.frm"、プロジェクトは"Project1.vbp"という名前が標準となっているので、そのままで構いません。
保存先のフォルダは、標準ではVBのアプリケーションがあるフォルダとなっているため、必ず違うフォルダを指定しましょう。VBのソースを保存するためのフォルダを作っておくとよいでしょう。
これで、今作成しているプロジェクトが保存されました。



アプリケーションの実行

プロジェクトを保存したら、先ほどと同じ要領でメニューから「実行(R)」→「開始(S)」を選択してアプリケーションを実行してみましょう。画面12のようになります。

画面12:アプリケーションを実行する
ここで、[切り替え]ボタンをクリックしてみてください。先ほどのソースが正しく入力されていれば、画面13のように文字列が切り替わります。

画面13:文字の内容と色が変更された
このアプリケーションでは、これ以上の動作は行いません。これ以降[切り替え]ボタンを何度クリックしても、表示は変わりません。[X]ボタンでアプリケーションを終了させましょう。VBのウィンドウに戻ってきます。

文字列を切り替えるだけの、単純なアプリケーションの作成過程を紹介してきました。次回は、この過程で行った種々の設定の意味を解説していきます。

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