Webアプリ開発事始 第3回

TCP/IPネットワークとWebアプリケーションの基礎(3)
~IPアドレスと管理の仕組み
長谷川裕行
有限会社 手國堂

WindowsネットワークとWINSサービス

Windows2000/NTでは、DNSとDHCPの他にWINSという独自のサービスが存在します。WindowsでTCP/IPネットワークを構築する際に、非常に便利な機能です。


- WindowsネットワークとWINSサービス -

Windowsのネットワークでは、NetBEUIが標準プロトコルとなっており、当然IPアドレスは使用されません。NetBEUIでは、その土台となっているNetBIOSによる名前付け規則に従って、NetBIOS名という文字による名前(コンピュータ名)が使用されます。

しかし現在では、標準のプロトコルをTCP/IPとする場合が多いため、従来のNetBEUIによるWindowsネットワークとTCP/IPネットワークとで、コンピュータ名管理の折り合いを付けなければなりません。それを担当するのが、WINS(Windows Internet Name Service)サービスです。

WINSは、Windowsネットワークで用いるコンピュータ名をTCP/IPネットワークのホスト名と結び付ける機能を提供し、WindowsネットワークとTCP/IPとを同じネットワーク内で合理的に稼働させます。



- コンピュータ名とホスト名 -

Windowsネットワークで用いられるNetBIOS名は、DNSのホスト名の規則と互換性があります。そのため、コンピュータ名をそのままTCP/IPのホスト名に使っても問題は生じません※5

ただ、NetBIOSのコンピュータ名は単にコンピュータの名前だけですが、DNSによって管理されるホスト名は、ドメイン名と組になった完全修飾ドメイン名(FQDN)となっています。

そこでWINSサービスは、NetBIOS名とDNSによって管理されるドメイン名とを結びつけ、完全修飾ドメイン名を生成します。

例えば、Windowsネットワーク内に“Nancy”というコンピュータが存在するとします。このNancyにTCP/IPプロトコルを組み込んで、“technido.com”というドメインに参加させると、WINSによって“nancy.technido.com”という完全修飾ドメイン名が生成されます。

※5 但し、NetBIOS名では英字の大文字と小文字を区別せず、すべて大文字となりますが、TCP/IPでは基本的にすべて小文字となります。そのためNetBEUIのコンピュータ名“NANCY”は、WINSを介してTCP/IPでアクセスすると“nancy”となります



- WINSと他のサービスの連携 -

WINSはまた、DHCPによって動的に割り当てられた各ホストのIPアドレスと、Windowsネットワークのコンピュータ名との組み合わせも管理します。

WINSによって生成された情報をDNSに参照させることで、DHCPサーバーから動的に割り当てられたホストに対するIPアドレスの問い合わせを、DNSに対して行えるようになります。

つまり、以下のような形です。

(1) DHCPによって割り当てられたIPアドレスがWINSでNetBIOS名と結び付けられる
(2) DNSサーバーにWINSの参照を設定すると、DNSは自身が把握していないホストとIPアドレスの組み合わせをWINSに問い合わせる
(3) WINSが把握しているWindowsネットワーク内のコンピュータ名を完全修飾名にして、DNSに返す
図3:DNS、WINS、DHCPの連携による名前解決

当然のことながら、WINSサーバーはDHCPクライアントにはなれません。DHCPからIPアドレスをもらう以前に、NetBIOSとDNSとの結び付けを行う必要があるためです。従ってWINSサーバーとするコンピュータには、予め固定的なIPアドレスを割り当てておかなければなりません。

IPv6について

森前首相の所信表明演説(2000年10月)以来「IT革命」が流行語になり、あちこちのメディアで「IT」の大合唱が起こったのは、ご存じのとおりです。その演説の中で“IPバージョン6”という言葉が登場しました。

前回紹介したように、IP(Internet Protocol)はTCP/IPネットワークで1台のホストを特定するための仕組みを提供するプロトコルです。現在の規約はIPv4(バージョン4)となっており、32ビットのデータを8ビットのオクテット4個に切り分け、ドメインとホストを特定する仕組みになっています。

しかし、今後インターネットに接続するドメインとホストが増え、さらにテレビ受像器や冷蔵庫などの家電品にまでIPアドレスを振るとなると、現在の規約ではアドレスが足りなくなってしまいます。

そこで、IETF(Internet Engineering Task Force)という技術開発組織によって、IPアドレスを32ビットから4倍の128ビットに拡張するなど、将来を見据えた規約の変更が検討されています。この新しいIPプロトコルがIPv6(バージョン6)です。



- 目次 -
TCP/IPとIPアドレスの管理
IPアドレスと名前の管理
IPアドレスの仕組み
IPアドレスとネットマスク
DNSとDHCP
WindowsネットワークとWINSサービス
WindowsネットワークとWINSサービス
コンピュータ名とホスト名
WINSと他のサービスの連携
IPv6について(コラム)
Webサービスの仕組み
あとがき

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